Steel pipe sheet pile
鋼管矢板とは
01
鋼管矢板の特徴
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01
大きな支持力と曲げ剛性
大径の鋼管を使用することにより、鋼矢板では得られない大きな支持力と曲げ剛性が得られる。
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02
設計の自由度が大きい
外径、板厚の選択肢が多いため、経済的な設計ができる。また、矢板壁と基礎杭との兼用ができる。
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03
止水壁の構築も可能
継手処理によって、「止水性」も確保できる。特にP・P型継手は、継手接合部にモルタル等を直接あるいは袋詰して装填するため、止水性に優れている。
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04
優れた施工性
矢板壁の法線が折れ線や曲線であっても、継手の取付け位置を変えることで、容易に対応できる。
-
05
鋼管杭の特徴を継承
鋼管杭の優れた特徴をそのまま備えている。
02
主な用途
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道路擁壁
-
護岸
-
岸壁
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橋梁基礎
03
鋼管矢板の継手形状
-
L-T型
略図
継手寸法(mm) 継手質量(kg/m) L:65×65×8
T:125×9(×39×12)28.0 L:75×75×9
T:125×9(×39×12)32.6 L:100×75×10
T:125×9(×39×12)38.7 -
P-P型
略図
継手寸法(mm) 継手質量(kg/m) P:φ165.2×9 34.7×2 P:φ165.2×11 41.8×2 -
P-T型
略図
継手寸法(mm) 継手質量(kg/m) P:φ165.2×9
T:76×85×9×945.6
04
規格と製造範囲
鋼管矢板の規格
鋼管矢板の規格は、JIS A 5530(鋼管矢板)によります。下記に化学成分および機械的性質を示します。
鋼管矢板の化学成分および機械的性質
<化学成分>必要に応じて、表記以外の合金元素を添加してもよい。
種類の記号 | C | Si | Mn | P | S |
---|---|---|---|---|---|
SKY 400 | 0.25以下 | - | - | 0.040以下 | 0.040以下 |
SKY 490 | 0.18以下 | 0.55以下 | 1.65以下 | 0.035以下 | 0.035以下 |
<機械的性質>
母材部 | アーク溶接部 | 電気抵抗溶接部 | |||
---|---|---|---|---|---|
種類の記号 | 引張強さ (N/mm2) |
降伏点又は耐力 (N/mm2) |
伸び(%) 5号試験片 管軸直角方向a) |
溶接部引張強さ (N/mm2) |
へん平性 平板間の距離(H) (Dは管の外径) |
SKY 400 | 400以上 | 235以上 | 18以上 | 400以上 | 2/3D |
SKY 490 | 490以上 | 315以上 | 18以上 | 490以上 | 7/8D |
a)鋼帯又は鋼板から引張試験の供試体を採取する場合は、圧延方向又は圧延方向に直角の方向から採取する。
鋼管矢板の製造範囲
鋼管杭の製造範囲に準じます。
05
施工方法
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打撃工法
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中掘り工法
-
振動工法
-
圧入工法
06
鋼管矢板基礎Q&A
設計編
Q
最小平面形状の考え方は?
A
鋼管矢板基礎の最小平面形状は、一般的に橋脚形状(寸法)から決定します。
コンクリート橋脚の場合は、井筒の外壁鋼管矢板の内面から橋脚躯体までの間隔を、支保工のサイズ、間詰めコンクリート厚さ、作業通路幅、橋脚型枠厚さ等を考慮して、1.5m程度以上取ることを標準としています。
鋼製橋脚の場合には、アンカーフレームの形状を考慮し、頂版結合部とアンカーフレームが干渉しないようにするなどの注意が必要です。
また、基礎の耐力に余裕があり、橋脚形状と基礎の平面形状が相似形でない場合は、外壁鋼管矢板と橋脚躯体の最小離れを部分的に1.0m程度とする場合もあります。ただし、頂版コンクリート打設後に仮締切り部の切梁・腹起しの撤去が可能であるなど施工上の注意が必要です。
Q
有限長梁と仮想井筒梁の計算方法の詳細な使い分けは?
A
道路橋示方書では以下の3つ条件をすべて満足する時、有限長梁の計算法を用いても良いとなっています。
・B≦30m
B:井筒部載荷方向の基礎幅(m)
・L/B>1
L:井筒部の鋼管矢板長さ(m)
・ß・Le>1
ß:特性値(m-1)
Le:基礎の有効根入れ長(m)
以上の条件を満足する場合、井筒は曲げ変形が卓越し、基礎の単独杭としての応力状態に近く、継手のずれ変形の影響を合成効率により基礎の曲げ特性を評価した弾性床上の有限長梁として計算しても十分な精度が有ると判断されます。
これ以外の条件では、井筒はせん断変形が卓越し、合成効率による一律な継手のせん断ずれ評価では計算精度が得られなくなるため、仮想井筒梁による計算方法を用いなければなりません。
なお、小判型などで橋軸方向が以上の条件を満たし有限長梁計算が可能となっても、直角方向が条件を満たさない場合には、2方向とも仮想井筒梁の計算をするのが望ましく、また、特殊な形状についても仮想井筒梁による計算方法を用いるのが良いと思います。
Q
隔壁鋼管矢板の採用基準は?
A
隔壁鋼管矢板は、鋼管矢板基礎の井筒平面形状(井筒の外径)が15~20m以上となる場合に、井筒の平面形状の保持を目的として採用します。(鋼管矢板基礎設計施工便覧(社)日本道路協会 平成9年12月 1.5.5(1))
ただし、井筒平面形状が15~20m以下で、設計・施工条件により井筒の平面形状が制約される場合や、井筒平面形状の大きさにかかわらず、隔壁を採用したほうが経済的になる場合には、隔壁鋼管矢板を採用します。
なお、外壁鋼管矢板と隔壁鋼管矢板の外径は、施工機械の段取替えを考慮し、同径とすることが望ましいです。
Q
水位下にある橋脚・頂版部分の浮力は考慮するか、否か?
A
水位下に橋脚または頂版がある場合、最も厳しいケースを想定して浮力を考慮するか否か決定します。押込み力が発生するケースでは、橋脚・頂版部分の浮力を考慮しない方が厳しいケースとなり、引抜き力が発生するケースでは、橋脚・頂版部分の浮力を考慮した方が厳しいケースとなります。
ただし、橋脚や頂版が水位下にあるにも関わらず、浮力を考慮しないことは、非常に過大設計となるため、通常は、H.W.LとL.W.Lの両方のケースを行うのが一般的です。
Q
鋼管矢板基礎へのJV工法の適用は可能か、その時の支持力は?
A
平成14年の道路橋示方書の改訂に伴い、バイブロハンマ工法が打込み工法の1つとして採用されましたが、「バイブロハンマ工法においては、ウォータージェットを併用してはならない。」と記述されています。
しかし、近年、鋼管矢板基礎は、基礎形状の大型化、長尺化、硬い中間層の打ち抜き、騒音・振動低減工法の採用等、施工環境、施工条件が厳しいものが多くなってきています。このような条件下から、鋼管矢板をウォータージェット併用バイブロハンマ工法(JV工法)で施工するケースがあります。
鋼管矢板基礎へJV工法を採用する場合は、水平載荷試験および押込み載荷試験等を実施し、水平支持力および鉛直支持力を確認します。
Q
隅角部のスタッド同士が接触してしまう場合の対処方法は?
A
井筒形状が矩形の場合、その隅角部の鉄筋スタッドが干渉する場合があります。また、鋼製橋脚の場合、アンカーフレームに鉄筋スタッドが干渉する場合があります。この様な場合、鉄筋にフックをつけ、お互いに干渉しないようにします。
Q
仮締切り設計時に杭先端が塑性域となった場合の杭長の決め方は?
A
仮締切りの設計は、平成8年の道路橋示方書改訂で弾塑性解析により行うものとなりました。弾塑性解析の杭長の決め方は、各基準で異なった表現をしていますが、基本的には、土留め壁の応力、変位、切梁の軸力の定常性の検討を行い、山留め部材や支保工部材が根入れ長によって変化しない深さまで根入れする考え方になっています。
根入れ長が短く、根入れ部先端に弾性領域が存在しない場合には、変位、曲げモーメント、最下段切り梁反力が著しく大きくなりますが、根入れ部先端に弾性領域が現れると、これらの値は急激に減少し、一定値に収束する傾向があります。この様に、仮締め切り設計時に杭先端が塑性域となった場合には、杭先端に弾性域が現れるまで杭を延長します。(参考:(財)先端建設技術センター 大深度土留め設計・施工指針(案)1991.10)
また、杭先端が塑性域となる原因は、主働側と受働側の水位差が大きく、杭先端付近の砂質土層の上に粘性土層がある場合で、杭先端の有効受働土圧が0となり塑性域となります。そこで、施工上、杭の延長が不可能な場合は、杭の先端付近の地盤を粘性土(ただし、土質条件は砂質土のまま)とし、水圧を一体化し計算する場合があります。
Q
中詰めコンクリ-トの必要性は?
A
設計上は、中詰めコンクリ-トの重量は鉛直力として考慮しますが、鋼管矢板基礎の断面剛性や、完成時の常時・地震時の発生応力に中詰めコンクリ-トの評価は考慮していません。これは、設計上は安全側になります。
しかし、中詰めコンクリートは施工時の頂版結合で溶接による鋼管矢板への溶接熱による局部変形の防止や、上部工の荷重や応力を円滑に鋼管矢板に伝達する効果があります。
なお、中詰めコンクリートの範囲は、通常、頂版天端より頂版厚さの2倍の長さとします。
Q
継手管の取付け位置はどこまで必要か?
A
鋼管矢板の継手管は、鋼管矢板基礎の全体の剛性を確保するために、設計上は鋼管矢板全長にわたり取り付ける必要があります。しかし、支持層部への継手を伴っての打ち込みが困難であること、また、この範囲に打ち込まれた鋼管本体が固い地盤で強固に保持されることを勘案して、継手は支持層には貫入させないとして現実には運用されています。
一般的に鋼管本体の支持層の根入れ長は1~2m程度が多く、継手もこれに応じて管端から1~2m上の位置まで取り付けとするケ-スが多くあります。
脚付き型の鋼管矢板基礎の場合には、設計上では井筒の範囲内だけに継手を設ければよいが、建て込み時に先行矢板の継ぎ手と嵌合させるため、片側の継手だけはこの作業に支障のない位置まで延長して設置する必要があります。
また、鋼管矢板継手内への土砂の浸入量を少なくするために、継手管の先端に先端沓を取り付けます。
施工編
Q
桟橋打ちと船打ちの使い分けは?
A
河川(海)内基礎として、多く採用されている鋼管矢板基礎は、桟橋からの施工と杭打ち船による施工が可能です。一般的に、鋼管矢板基礎は、桟橋打ちによる施工が多く採用されています。
以下に、桟橋打ちと船打ちを検討する場合の注意点をまとめます。
<桟橋打ちを検討する場合の注意点>
①水深や地盤の条件により大規模な桟橋や作業桟台が必要となる
②施工場所が陸から離れている場合、橋長の長い桟橋が必要となる
<船打ちを検討する場合の注意点>
①施工時の水深に制限がある
②河川の場合は船の進入経路を確認する
③波風等の影響を受けるため施工精度の確保に注意する
④施工時期と杭打ち船の規模によっては該当船が存在しない場合もある
⑤上部工の施工も含めた工期を正確に把握し工費を検討する
桟橋打ちと船打ちの使い分けは、施工条件(地盤条件や施工時期・工期等)を十分に検討し、経済比較等を行い決定します。
Q
打撃工法における中間層の施工可否と対策については?
A
1)施工可否の検討
①中間層の土質の状況について
上層の地層が硬い層ほど、そしてその層が厚いほどそこを通過して打ち込まれる場合に、杭の先端は閉塞状態が進んで下層への貫入不能になる場合があります。
②明確な中間層がある場合について、次のチェックポイントについて検討します
・N値50以上の砂礫層厚が5m以上有るか?・・・打ち抜き不能になる場合有ります
・N値30以上の粘性土層厚が3m以下か?・・・・打ち抜き可能な場合有ります
・N値30未満の粘性土層厚が6m以下か?・・・・ 同上
・砂質地盤で粒径が一様か?・・・・・・・・粒径が一様な場合打ち抜きが容易です
・中間層の下層が軟弱層か?・・下層が軟弱な場合中間層が少々硬くても打ち抜き可能です
2)対策工法
(ⅰ)補助工法・・・①中掘り併用
②ウォータージェット併用
③継ぎ手部の先行掘削
(ⅱ)ハンマ能力アップ
Q
現場での打止め管理方法は?
A
1. 鋼管矢板の打ち止め条件は、試験杭で決めるのが良いです。
それは、根入れ深さ、打ち止め時の1打当たりの貫入量で決定します。
①根入れ深さ
設計図書の根入れ深さで管理します。
②支持力管理
中打ち単独杭か、鋼管矢板井筒壁の最初の一本で確認するのが良いでしょう。
③打ち止め時の1打当たりの貫入量
目安として2~10mm/打程度です。継ぎ手のせり抵抗があるため、打撃回数が必然的に多くなります。そして、貫入量も0.1mm/打 程度ということも有りますので0.5mm以下/打となった時をもって限界とするべきでしょう。
2. 鋼管矢板の支持力の確認をしたいときは鉛直載荷試験を行います。
載荷試験には、従来の静的載荷試験の他、急速載荷試験、衝撃載荷試験などがあります。
Q
中掘り工法(セメントミルク噴出撹拌方式)の最大杭径は?
A
「道路橋示方書Ⅳ下部構造編」では杭径1000mm程度までが適用範囲としています。
現在実績としてはΦ1200まで施工されています。
Φ1000を超える杭については適用外なので、支持力の検討が必要となります。
Q
現場溶接位置の設定における留意点は?
A
現場溶接継手位置は完成後に作用する荷重に対して安全であるように設計しますが、継手箇所数は継手の信頼性や杭施工時間の短縮などの点からなるべく少なくする方向で設計するのが望ましいです。しかし、継手箇所数を少なくすればそれだけ杭が長尺化し、その結果輸送が困難になったり杭の施工に大型機械が必要になったりすることがあります。また、一般に杭長が12mを越すと長尺エキストラが必要となります。したがって杭の単管長の決定および継手箇所数の決定にあたってはこれらのことを総合的に検討しておく必要あります。
道路橋示方書によると、現場溶接位置では許容応力度を90%に低減します。したがって、許容応力度法による検討(合成応力度・仮締切り)により鋼管に発生する応力を確認の上、90%に低減した許容応力度を満足する場所に設けます。さらに、隣り合う鋼管で現場溶接位置が並ばないように1.0m程度上下にずらした千鳥配置とします。
また他部材との取り合いの問題から次のような場所は避けることが望ましいと考えます。
① 仮締め切り兼用方式における頂版区間内
(コネクター類の取り付けや荷重伝達を円滑にするため)
② プレカット位置前後(継手管と本管の溶接部の確保)
③ 工場溶接位置前後(JIS A5530にも示されているように、製造上の素管長さを2.0m以上とするため、工場溶接位置前後2.0m区間内には設けません。)
Q
継手の中詰めモルタルの配合例は?
A
中詰めモルタルの配合例を以下に示します。
①本体部中詰めモルタル配合例
(セメントモルタル本体部モルタル1㎥当たり配合表)
②仮締切り部中詰め低強度モルタル配合例
(ベントナイトモルタル低強度モルタル1㎥当たり配合表)
ここで、混和剤としては “プレパックドコンクリート用混和剤イントルージョンエイド” などがよく用いられています。
【イントルージョンエイド】
注入モルタルに対して、減水、凝結の遅延、膨張、凍結融解に対する抵抗性向上などの性質を与えます。
メーカー トーテク(株)
TEL:03-3733-4459
URL:http://www.toteku.co.jp
Q
盤ぶくれの対策法は?
A
掘削底面に不透水層があり、さらにその下の被圧地下水槽が存在する場合には、盤ぶくれに対する安全性を確認する必要があります。安全性に問題がある場合には、以下のような対策法が考えられます。
① 鋼管矢板壁の根入れを長くして下方の不透水層に根入れする。
② ディープウェル等により地下水位を低下させる。ただし、この場合には周辺地盤の地下水位の低下およびそれに伴う地盤沈下に注意が必要である。
なお、鋼管矢板基礎のように鋼管矢板を円形・小判形・矩形等の閉鎖形状に組み合わせて設置したものについては、井筒内を地盤改良し、鋼管矢板と地盤の摩擦抵抗を増す方法も考えられます。
Q
鉄筋スタッドの打設可能本数、水平方向ピッチ、鉄筋径は?
A
基本的な鉄筋スタッドの打設可能本数は、水平円弧方向に4列、打設間隔は100mmピッチで、打設可能鉄筋径は、D19とD22の2種類です。また、鉛直方向の打設可能本数には制限がありませんが、施工上、最上段と最下段に空きが必要です。
なお、水平円弧方向では、打設本数を5列(打設間隔は100mmピッチ)とした打設も可能です。
以下に、4列配置と5列配置の例を示します。
Q
近接施工の問題点は?
A
既設構造物に近接して杭打ち工事、掘削等の基礎工事を実施すると、周囲の地盤が乱されることにより地中の変位や変形が生じ、この影響範囲内の既設構造物にも変位や変形が生じる。その影響が大きくなると構造物の機能や安全性に障害が生じる。
従って、影響範囲の予測と周辺地盤の変位量の管理がポイントとなり、必要に応じて近接施工の対策工を実施する必要がある。
影響範囲の予測には、有限要素法等の解析による方法と実験や経験を重視する方法があり、対策工法としては周辺地盤の改良や周辺地盤や既設構造物の補強があります。
以下に代表的な基礎工法について、近接施工での周囲に影響を与える要因について示します。
①場所打ち杭
杭周辺および先端部の地盤が緩みやすく、また孔壁が崩壊した場合には近接する既設構造物へも大きな影響を与える恐れがある。
②既成杭
打撃工法
打ち込まれた杭の体積分だけ土が側方に押し拡げられることにより、地盤の影響は比較的大きいが、その影響は杭種によってかなり異なりコンクリート杭のような閉塞杭と比較し開端杭である鋼管杭では比較的小さい。
中掘り工法
打ち込み杭の場合のような地盤の側方への押し拡げもなく低振動工法でもあるので、近接施工には有利である。ただし、砂層でのボイリングの発生や杭周辺地盤を緩める恐れがある。
③オープンケーソン工法
ケーソン工法では、ケーソン沈設の際の周面摩擦抵抗を減少させるために、通常フリクションカッターが設けられている。このフリクションカッターはケーソン沈設時にケーソン本体と周辺地盤との間に空隙を生じるため、この空隙に土砂が移動して地盤変位の原因となりやすい。
④ニューマチックケーソン工法
オープンケーソンの場合と同様、フリクションカッターによる影響が大きいと考えられる。
⑤鋼管矢板基礎
鋼管矢板打設時に関しての留意点は、鋼管杭の打設の場合と同様である。打撃工法では打ち込みにともなう地盤の側方への押し拡げ現象等が考えられるが、中掘り工法等を採用すれば影響を少なくすることができる。
また、「近接工事設計施工標準」(東日本旅客鉄道(株)、2003.04)では下図のように鋼管矢板基礎の近接工事での適用性を示している。
参考文献:「近接施工」土質工学会 近代図書
Q
鋼管矢板の施工時のt/Dは?
A
鋼管矢板基礎に適用する鋼管矢板のt/Dの考え方は以下の通りです。
鋼管矢板基礎に適用される鋼管矢板は、製造面からは製造時の溶接歪みによる変形、現場溶接時の目違いおよび取扱い性や運搬性を考慮する必要があります。JIS A 5530(鋼管矢板)では、これらを考慮してt/D(板厚と鋼管矢板外径の比)≧1.1%を提案しています。また、施工面からの各工法のt/D(板厚と鋼管矢板外径の比)の比較以下に示します。
打込み杭工法で打撃工法により施工する鋼管矢板の場合、杭頭部の座屈の影響および施工時の変形による目違い等を考慮し、Φ1,000mm超えのときは1.1%以上、Φ1,000mm以下のときは1.4%以上を推奨しています。これは、従来設計上から要求される最小板厚にて鋼管矢板の仕様を選定した場合、杭頭部に補強バンドを施していましたが、補強バンドにより応力集中が生じ有害な効果を与えるとの研究成果が発表されています。振動工法についても、打撃工法と同様の考え方を目安としています。
また、埋込み杭工法については、施工時に偏打等による座屈のおそれがないことから、1.1%以上かつ9mm以上が目安となります。
<出典>
①(社)日本道路協会 道路橋示方書・同解説 Ⅳ下部構造編 平成14年3月
②(社)日本道路協会 鋼管矢板基礎設計施工便覧 平成9年12月
③鋼管杭協会 鋼管杭・鋼管矢板 バイブロハンマ工法-その設計と施工- 平成19年3月
④鋼管杭協会 鋼管矢板基礎Q&A(改定版) 平成17年3月