Steel Sheet Pile
鋼矢板とは
01
鋼矢板の特徴
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01
種類や形状が豊富
設計条件や工事方法に応じて、最適な鋼矢板を使い分けることができ、経済的である。
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02
優れた止水性と施工性
適切な形状の継手により、嵌合時の止水性に優れている。また、継手の競りも少なく、施工性も良好である。
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03
工期の短縮が可能
大がかりな施工設備を必要とせず、急速施工も可能である。
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04
容易な運搬と保管
積み重ねができるため、保管・運搬がきわめて容易であり、また、保管スペースも小さい。
02
主な用途
鋼矢板は主に以下のような用途に用いられています。
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岸壁・物揚場
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護岸
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擁壁
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仮設土留め
03
鋼矢板の種類
ハット形鋼矢板
ハット形鋼矢板は、施工性、構造信頼性、経済性を追及した鋼矢板です。有効幅が900mmと大断面であるため、同一施工延長での使用枚数が少なくて済む特徴があります。両アームに設けられた継手形状は異なっており、壁体を構成した場合の継手位置は、壁体中立軸に対して一方の壁面側最外縁部に偏って配置されます。
形状および断面性能
備考
1. 壁幅1m当りの質量は(1枚当りの質量×1,000/W(有効幅))の数値をJIS Z 8401により丸めた数値です。
2. 1枚当りの表面積は両面についての数値です。
3. 壁幅1m当りの表面積は打込み後の片面についての数値です。
U形鋼矢板
U形鋼矢板は、種類が多く、断面形状が対称で取扱いも容易なため、最も普及している鋼矢板です。継手を嵌合して壁体を構成した場合の壁厚は、鋼矢板単体の有効高さの2倍となります。また、そのときの継手位置は壁体の中央に位置します。
U形鋼矢板には400~600mm幅の鋼矢板がありますが、現在本設向けには600mm幅の鋼矢板が多く用いられています。
600mm幅と400mm幅の鋼矢板
形状および断面性能
備考
1.壁幅1m当りの質量は(1枚当りの質量×1,000/W(有効幅))の数値をJIS Z 8401により丸めた数値です。
2. 1枚当りの表面積は両面についての数値です。
3. 壁幅1m当りの表面積は打込み後の片面についての数値です。
直線形鋼矢板
直線形鋼矢板は、継手の引張強度が高い特長を有していることから、主に鋼矢板セルの鋼殻材として使用されます。
形状および断面性能
備考
1. 壁幅1m当りの質量は(1枚当りの質量×1,000/W(有効幅))の数値をJIS Z 8401により丸めた数値です。
2. 1枚当りの表面積は両面についての数値です。
3. 壁幅1m当りの表面積は打込み後の片面についての数値です。
04
規格
日本国内の鋼矢板は、JIS A 5523(溶接用熱間圧延鋼矢板)、
または JIS A 5528(熱間圧延鋼矢板)の規格に基づいて製造されています。
JIS A 5523(溶接用熱間圧延鋼矢板)
昭和58年の日本海中部地震や平成5年の釧路沖地震での鋼矢板の折損事例をきっかけに2000年に制定された新しい規格です。
下記のような規定が盛り込まれています。
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(1)溶接性の改善
炭素当量の規定
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(2)ぜい(脆)性破壊の抑制
シャルピー衝撃値の規定
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(3)ひずみ時効劣化の抑制
窒素含有量の規定
JIS A 5528(熱間圧延鋼矢板)
昭和42年に制定された従来の熱間圧延鋼矢板のJIS規格で、2006年に一部改訂されています。
鋼矢板の化学成分および機械的性質
下表に化学成分および機械的性質を示します。
<化学成分>[註] 炭素当量Ceq(%)=C+Mn/6+Si/24+Ni/
40+Cr/5+Mo/4+V/14
規格 | 種類の記号 | 化学成分(%) | 炭素当量 Ceq.(%) |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
C | Si | Mn | P | S | フリー窒素 | |||
JIS A5523 | SYW295 | 0.18以下 | 0.55以下 | 1.50以下 | 0.040以下 | 0.040以下 | 0.0060以下 | 0.44以下 |
SYW390 | 0.18以下 | 0.55以下 | 1.50以下 | 0.040以下 | 0.040以下 | 0.0060以下 | 0.45以下 | |
JIS A5528 | SY295 | - | - | - | 0.040以下 | 0.040以下 | - | - |
SY390 | - | - | - | 0.040以下 | 0.040以下 | - | - |
<機械的性質>
シャルピー・吸収エネルギー(J) | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
規格 | 種類の 記号 |
降伏点又は 耐力 (N/mm2) |
引張強さ (N/mm2) |
試験片 | 伸び (%) |
試験温度 (℃) |
標準試験片 10×10mm |
サブサイズ試験片 | 試験片及び 試験片 採取方向 |
|
10×7.5mm | 10×5mm | |||||||||
JIS A 5523 |
SYW295 | 295以上 | 450以上 | 1A号 | 18以上 | 0 | 43以上 | 32以上 | 22以上 | Vノッチ 圧延方向 |
14B号 | 24以上 | |||||||||
SYW390 | 390以上 | 490以上 | 1A号 | 16以上 | ||||||
14B号 | 20以上 | |||||||||
JIS A 5528 |
SY295 | 295以上 | 450以上 | 1A号 | 18以上 | - | - | - | - | - |
14B号 | 24以上 | - | - | - | - | - | ||||
SY390 | 390以上 | 490以上 | 1A号 | 16以上 | - | - | - | - | - | |
14B号 | 20以上 | - | - | - | - | - |
05
施工方法
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振動工法
-
圧入工法
06
鋼矢板Q&A
鋼管杭・鋼矢板技術協会では、鋼矢板工法の正しい発展を願い、鋼矢板工法の設計・施工全般にわたって纏めた『鋼矢板 設計から施工まで』やユーザーからの問い合わせの多い事項に応える技術資料として『鋼矢板Q&A』等を取り纏めて、提供してまいりました。この度、ハット形鋼矢板の大型化(45H 及び50H の適用)が進んでいることから、この2 つのタイプの鋼矢板の設計諸元を追記した第11版を発刊することといたしました。
第11版(令和6年3月版)アップロード
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